読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

3月3日から3月4日にかけての話。

 姉が去年結婚した。それでハワイで挙式をあげると言うから3月にハワイに行った。

 サラッとハワイに行ったと書いたが準備とか滅茶苦茶大変だった。出不精な上に海外へ行ったことが無かった為、何を持って行ったら良いか全く分からず親に電話しては

「何を持って行けば良いのか??」

「3月って泳げるのか??」

「Tシャツは何枚必要か??」

ど遠足前の小学生の様な事を聞いた。電話で色々と質問するものの準備は一向に進まなかった。

 

 僕は京都で1人暮らしをしているから出国の2日前に実家へ帰り、羽田経由でハワイまで行く予定であった。

 

 実家に帰る前日になっても準備は全く終わっていなかった。それなのに僕はその夜、友人とピザの食べ放題に行き、満腹になって22時には寝てしまった。かろうじて寝落ちする事を予測した21時半頃の僕は5時に目覚ましをかけていた。ナイス21時半の自分。5時に起きた僕はうつらうつらと準備を始めた。取り敢えずシャワーを浴びようと服を脱いで洗濯機に投げた。洗濯機から洗濯物があふれていた。まるでナイアガラの滝だ。嘘だ。滝は言い過ぎた。言い過ぎたと言うか滝よりは山だ。洗濯物がハワイの火山の様ないでたちで僕を見ていた。そして僕もそれを見ていた。

 洗濯物を見てハワイに思いを馳せている場合ではない。洗濯物を洗濯機のキャパシティに収まる様に2分割してから洗濯機を回してシャワーを浴びた。洗濯機が洗い→すすぎ→脱水を2回繰り返し、全ての洗濯物が洗い終わった時点で7時だった。

 

 僕は最寄り駅を9時発の電車に乗って実家に帰る予定だった。どうしようか、半月も家を空けるのに洗濯物を外に干しておく訳にはいかないし、部屋干し出来る量でもない。それに洗濯物の中には帰省で持って帰らなければならない服も含まれていた。

 ダジャレを言っている場合ではなかった。僕は乾燥機を使いに駅前のコインランドリーへと自転車を漕いだ。自転車の前カゴには大量の洗濯物が入った洗濯カゴ。カゴinカゴ、いや、洗濯カゴの方が大きいからカゴonカゴ状態だ。しかも背中には洗濯カゴに入りきらなかった洗濯物を詰めたリュックサックを背負っている。もう不審者である。もしもこの時、水木しげる先生が僕を見ていたら"洗濯なんちゃら"とか"なんちゃら洗濯"と言う妖怪だと言ったかもしれない。いや、言わないと思う。不審者の様な格好は少し恥ずかしかったけれど急いでいるのだから仕方がなかった。

 

 コインランドリーに着くと老人が沢山居た。さすが老人の朝は早いと感心しつつ僕は乾燥機を回した。12分/100円だったから36分で良いだろうと思い、乾燥機に100円玉を3枚投入して近くのコンビニへ暇を潰しに行った。いや、全然暇じゃないんだけれど。だってまだ荷造り終わってないし。でも朝食も食べてなかったからLIVEチケットの受取証明書を忘れた事を少し後悔しつつ食べ物を物色した。ハワイに行くからと調子に乗ってアサイージュースを朝食に選んだ。後、帰りの電車は軽く6時間以上あるから何か暇つぶしになるようなものを買わないといけないと思ってコンビニのペーパーバック版漫画も物色した。銀魂コボちゃんで迷った結果、アフロ田中を買った。

 それで昼ごはんとかガムとか買ったりしていたら1000円以内に収めようと思っていたのに1000円を少しだけ超えてしまった。ポケットに半分くらい残ったガムがあったのだからガムを買わなかったら超えなかったのに何でか買ってしまった。

 そんなこんなで時間も充分経っただろうとアサイーを飲みながらコンビニからコインランドリーへ戻ると残り時間が後10分もあった。もう少し立ち読みでもすれば良かったかなとか思いながら偶々持っていた星野源のそして生活はつづくを読んだ。

 10分経って洗濯物を乾燥機から取り出したけれど何枚か乾ききっていない洗濯物があった。本当ならばその何枚かだけ部屋干しすれば解決なのだが困った事にその服はハワイに持って行こうとした服だった。仕方なくその服だけ12分追加で乾燥させ、残りの服を取り出して畳んだ。時刻はもうすぐ9時だった。9時に駅に行くはずだったのに。いや、駅前に居ることは居るのだけれど、大量の洗濯物と昼ごはんとガムとアフロ田中しか持ってないし。こんな状態で帰省できる訳がない。

 

 すべての洗濯物を畳んで急いで家に帰って急いで鞄に必要な荷物を詰めた。要るか要らないか分からない物も取り敢えず詰めていたら滅茶苦茶重たくなってしまった。でも時間が無いからそのまま駅に向かおうと家を出た。3分くらい歩いたところでサブバックを忘れた事に気が付いた。困ったが仕方がないから走って取りに戻った。そんな間も時間は刻々と進んで1秒も待ってくれない。

 

 昔TVで「今年はうるう秒があります。」とか何とか言っていた。それについて天体系の専門家が公転周期とかについて話していたがまだ幼かった僕には何のことやらよく分からなかった。専門家は最終的に1秒お得とか言う話をし、1秒あれば早口で「あけましておめでとう」が言えると言って何度も早口で

「アケマシテオメデトウ」

と言っていた。専門家はお得な1秒の為に何秒をインタビューに費やしたのだろうと思った。

 

 僕にはもう1秒も帰省以外の事に費やす余裕がなく、サブバックを持ってまた駅まで走った。ICカードを使って改札を通り、ホームへ上がったところで昼ごはんとガムとアフロ田中を忘れた事に気が付いた。

ああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ついでに言うとハワイのガイド本もリップクリームも忘れた。でももう間に合わないし諦めるしかない。僕は少し落ち込みながら大阪方面へ向かう電車に乗った。iPodからはHelsinki Lambda Clubのバンドワゴネスクが流れていた。忘れ物はしてしまったけれど新幹線には間に合いそうだし落ち込む程の事じゃない。今度からは前もって準備をして忘れ物をしない様にしよう。

 

そんな事を考えてバンドをやっている(©Helsinki Lambda Club)

 

あ、俺バンドやってねぇや。